高負荷連続走行時のトランスファーオイル温度を管理しトランスファーを保護します。


■トランスファーとは
- エンジンの後方に設置されており、トランスアクスルディファレンシャルケースから入力された駆動力を、90度方向を変えて後方に出力します。
- GRヤリスに搭載されています4WDシステムではリヤデフ前方に設置された電子制御カップリングにより後軸への駆動力をコントロールします。
- 各モード(NORMAL・GRAVEL・TRACK)で理想的な駆動力配分ができる様、常に駆動力を調整している機構となります。
■商品概要
- GRヤリスのトランスファーはサーキットなどの高負荷連続走行時にトランスファーオイル温度が上昇しやすいため、トランスファーオイル温度の異常な高温化を防ぐ目的で2WD化になる保護制御(トランスファー保護制御)が採用されています。
- HKS TRANSFER OIL COOLERはトランスファーオイル温度が上昇しやすい点に着目し、トランスファーオイルのロングライフ化、トランスファーの保護を目的に開発しました。
- トランスファー保護制御キャンセルプログラムが搭載された車両においては、キャンセルプログラムを有効化(2WD化をキャンセル)する事が可能になり、サーキットで連続走行を行っても2WDになる事がありません。(キャンセルプログラムを有効化させた場合は自動車メーカーの保証外となります。詳しくはお車の保証規定をご確認ください。)
トランスファー保護制御キャンセルプログラム搭載車両
※ 2020年8月~2020年12月の車両はトランスファー保護制御は採用されていません。
詳しくは車輛御購入店舗へお問い合わせください。

クーラーパイプ取付位置

オイルポンプ取付位置
■構成部品
■特長
- トランスファーオイルの冷却を確実に行いつつ、エンジン冷却水、エンジンオイル、I/C冷却性能への影響が無いよう専用のパイプタイプのクーラーを採用。クーラーを固定するブラケットは冷却風の流れを阻害しないよう前面投影面積が最小となる設計としました。(ラジエータ、インタークーラーへの冷却風影響を最小限としました)
- オイルポンプはHKS自社製を採用。電動式としては、高負荷対応、高流量タイプのオイルポンプを採用しています。
- 専用のポンプコントローラーを設定。油温が低温時(高粘度時)に作動させてしまった場合でも過電流保護制御によりポンプを待機状態にしますが、油温が適温になると自動で作動を開始します。
(注、ポンプへの過負荷を極力避けるため油温が60℃以上で作動させることを推奨します)
またトランスファー保護制御キャンセルプログラム搭載車両では、トランスファー保護制御キャンセル信号(ENG始動後1分以内のTRACKボタン押し)を自動検知してポンプ作動を行います。専用コントローラーの表示部でポンプの作動状態が確認できます。電源から電動ポンプまでの配線も付属しています。
- トランスファーオイルの取出し部には専用設計のバンジョータイプアタッチメントを採用。万一に備えて車両下部からの衝撃に対しても破損に強い設計としました。バンジョーボルトにPT1/8プラグ穴を設けており、オイル交換時にバンジョーボルトを取り外さずにオイル交換が可能。また温度センサー取付穴としても使用可能です。
■ポンプコントローラー機能
- ポンプコントローラーには下記の動作モードと機能があります。
- 動作モード
AUTOモード (トランスファー保護制御キャンセルプログラム非搭載車両向けモード)
FULL AUTOモード (トランスファー保護制御キャンセルプログラム搭載車両向けモード)
MANUALモード (メンテナンス向け)
- 電流値監視機能
(ポンプ電流が定格以上のとき待機状態に移行。待機中は30秒毎に3秒間ポンプを作動させ電流値を監視)
- 過電流保護機能
- トランスファー保護制御キャンセル機能(トランスファー保護制御キャンセルプログラム搭載車両のみ有効)
車両の「4WDモードセレクトスイッチ」のコネクタとポンプコントローラーを接続することでトランスファー保護制御キャンセル機能が使用できるようになります。
■使用上の注意
- 本製品はトランスファーオイル温度が高温になるサーキット走行等での使用を前提にしています。トランスファーオイルに高負荷が掛からない一般走行ではポンプをOFFにしてご使用ください。
- サーキット等でもトランスファーオイルの温度が低い時にはポンプや配管に過負荷がかかりますので作動させないでください。(目安として60℃以上で作動させてください。)
- AUTOモード、FULL AUTOモードでポンプ作動時に電流監視機能によりポンプの作動・停止を繰り返す場合はトランスファーオイルの温度が低い状態です。長時間 作動・停止を繰り返す状態での使用は行わないでください。
- 純正のトランスファーオイルまたは、弊社ギヤオイル(G900 75W-90)をご使用ください。
75W-90を超える高粘度オイルもポンプや配管に過負荷がかかりますので使用しないでください。
- トランスファー保護制御キャンセル機能はトランスファー保護制御キャンセルプログラム搭載車両のみ有効です。非搭載車両で使用される場合は、車両の「4WDモードセレクトスイッチ」のコネクタを接続せずにご使用ください。(4WDモード切替えが行えなくなります。)
- 本製品の取付には車両側の加工が必要な箇所があります。(ラジエータ前エアガイド部、ラジエータアッパーエアガイドプレート、ラジエータエアガイド RH、エンジンアンダーカバーダクト部)
Point!
目安としてスポーツ走行開始直前に作動させる事を推奨いたします。
トランスファー保護制御キャンセルプログラム搭載車両と非搭載車両では配線方法、作動方法が異なります。必ず本商品装着前に車両仕様を確認をしてください。
■富士スピードウェイ レーシングコース走行試験データ

- トランスファーオイルクーラー未装着状態ではまだ油温が上昇中ですが、油温が約150℃まで上昇したため試験を終了。
- トランスファーオイルクーラー装着状態では100℃近辺で油温上昇が落ち着いたため試験を終了。
- これらの結果から更に周回を継続した場合に油温が飽和する温度を推定すると、トランスファーオイルクーラー有無による温度差は約50℃に達する見込。装着状態では連続走行を行っても100℃程度で安定して走行が可能です。
※上記は社内試験によるものです。