HKS

2023年JAF全日本ダートトライアル選手権
シリーズチャンピオン獲得

2023年JAFカップオールジャパンダートトライアル
JMRC全国オールスターダートトライアル in 東北

優勝(2023/11/5 )



Rd.1 : 2023 FLEET Dirt in KYOTO京都コスモスパーク

2022年の「JAFカップオールジャパンダートトライアル」にてシェイクダウンを兼ね、
初参戦を行った「HKSランサーエボリューション」。
シフト操作系統に問題を抱えつつも3位表彰台を獲得したが、
勝利を狙うため信頼性の確保やさらなるポテンシャルアップを目指してテストと開発を繰り返した。

そして2023年、HKSは正式に「全日本ダートトライアル選手権」に
田口勝彦選手を迎えフル参戦することとなった。
久々となるJAF戦への参戦にあたって、全日本ツーリングカー選手権で
総合優勝を飾ったグループA車両をモチーフとした伝統のHKSオイルカラーを身に纏った。

迎えた開幕戦の「2023 FLEET Dirt in KYOTO」。
土曜日の公開練習日は前日から降り続いた雨の影響によりマッド路面となった。
難しいコンディションの中行われた1本のみの練習では3位につけ、ポテンシャルの高さをアピールした。
初走行のコースということもあり懸念事項であったサスペンションのセッティングも問題なく、
車両全体の信頼性も高まってきた。

決勝は公開練習とは違ったコースレイアウトで争われ、
2ヒート走行でどちらか一方の速いタイムで順位が決まるというもの。
当日は好天に恵まれ、前日と打って変わって土煙が立ち上がるほどドライ路面となった。
HKSが参戦するDクラスは全クラスの中でも最後の出走順になり、前走者により踏み固められた路面はどんどん硬くなっていった。
決勝ヒート1はトップから約0.7秒遅れの2番手につけた。
安定はしているが、あともう一歩ほしい…。前日からの好走にチームの期待も高まっていく。

First HEAT TIME:1’24.033 (2nd)

午後になりヒート2が始まると、完全なドライ路面のなかタイム更新合戦が始まり、優勝争いは仕切り直しになった。
見る間に硬くなる路面を見て、HKSチームはタイヤをこれまでの一般ダート向けの「ADVAN A053」から、超硬質ダート向けの「ADVAN A036」へと変更。
これが功を奏し、路面コンディションを読み切った田口選手のドライビングも相まってヒート1のタイムを1秒6も縮めトップに躍り出た。
他チームもタイムアップを狙ってきたが、一歩抜きんでたHKSが見事デビューウィンを飾った。

Second HEAT TIME:1’22.427 (1st)

強力なライバル勢の中でのデビューウィンは、
コンディションや運といった要素も大きいものではあったがチームが一丸となって全力を尽くした結果であることは間違いない。
一方でライバル勢との比較により新たな課題も見えてきたため、次のラウンドでも優勝するべく開発を進めていく。

“Tune the Next”


Rd.3 : DIRT-TRIAL in NASUつくるまサーキット那須

本格参戦のスタートとなる開幕戦「2023 FLEET Dirt in KYOTO」で
鮮烈なデビューウィンを飾った田口勝彦選手が駆る「HKSランサーエボリューション」。
とはいえ、コンディションや運を味方につけた優勝でもあったため、
コンスタントに優勝争いに加わる実力をつけるために事前テストでのセッティングを行った。

第2戦が中止となってしまったため、第3戦の「DIRT-TRIAL in NASU」が実質的に第2戦となった。
前年の「JAFカップ」やテストでも多く走行している「つくるまサーキット那須」での開催となり、
チームとしても前年からの進化を見せたいと一層気を引き締めて臨んだ。

関東近郊での開催となり、かつ長期連休のはじまりに重なったため多くのギャラリーが詰めかけ、
HKSのピットに訪れる方も多くなった。
そんな中スタートした土曜日の公開練習日は晴天の中砂利がやや多い路面コンディションの中行われた。
決勝日が雨予報と路面コンディションが大きく変化することが想定されたため、パワーアップやサスセッティングのチェックをメインに行った。
タイムではトップから1.4秒差の4位につけたが、マシンのフィーリングも良くもっと攻められるとのコメントもあり期待できる結果となった。

決勝日未明には予報通りの雨となったが想定されたほど降らず、
路面コンディションは砂利の多い場所や水たまりがある場所が混在する非常に難しいものとなっていた。
天候も雨が降ったり止んだりを繰り返し、ドライバーを翻弄する状況となった。
刻一刻と変化するコンディションの中、出来ることはすべて行い田口選手にマシンを託した。
だがこの後HKSチームを待っていたのは衝撃の展開だった。
ターマック区間からダートに飛び込み、大きく右に回り込むヘアピンを順調にクリアするHKSランサー。
だが、コース外周に戻るためのタイトな右ヘアピンを立ち上がる際突如ラインから外れ、ステアリング操作が効かないまま左側の土手にヒット。
マシンはその反動で右に3回転半も横転する大クラッシュを喫したのだった。
驚きに包まれるコース。
幸い田口選手に大きなけがはなくすぐにマシンから脱出することが出来たが、
HKSランサーは横転によって外装を中心に大ダメージを受けてしまった。

デビューウィン直後の大クラッシュという急転直下の展開に直面したHKSチーム。
しかしこのようなトラブルもモータースポーツ、特に未舗装路を走るダートトライアルにはつきものとも言える。
結果としてはリタイヤとなったが、開幕戦からさらにマシンが熟成されマシンの戦闘力が高まっていることもうかがえた。
「ピンチは最大のチャンス」―。車両修復には時間がかかるが、これまでに得た戦訓をもとにさらに戦闘力を高めたマシンへと進化させていく。
これからも「HKSランサーエボリューション」から目が離せない。


Rd.5 : ダートスプリント in 門前輪島市門前モータースポーツ公園

第3戦の「DIRT-TRIAL in NASU」で衝撃の大クラッシュをしてしまった「HKSランサーエボリューション」。
復活に向けて検討を重ね、第4戦の北海道ラウンドを欠場しマシンの修復に専念することとなった。

フレーム修正・カーボン外装製作・エンジン・機関系/補機類ダメージ確認・車両カラーリング…作業は多岐に渡ったが、
なんとか第5戦の4日前である6月13日にエボは走行が出来る状態となり、まずはサーキットにて修復後のシェイクダウンを行った。
初期のマイナートラブルこそあったものの、すぐに解決でき良い状態でレースウィークを迎えることとなった。

第5戦の舞台「門前モータースポーツ公園」はアップダウンが激しく、
林道を思わせるタイトセクションや長いストレートなどバラエティに富んだレイアウトのコースだ。
週末は天気にも恵まれ、初夏の陽気と4年ぶりの門前ラウンドに気合を入れるエントラントの熱気で会場は包まれていた。

公開練習日は1本目が3位、2本目が2位と修復後初走行のダート路面ながら好位置につけた。
はじめてのコースで路面状態も読めない中、サスペンションとタイヤのマッチングも良く感触の良い練習日となった。

いよいよ決勝日、路面は前日からの好天により、砂煙も多く立ち込めるコンディション完全なドライ路面となった。

HKSチームは他クラス走行時のコース状況を確認し、一般ダート向けタイヤ「ADVAN A053」を選択。
コンディションとセッティングがマッチし、硬質ダートタイヤを選択した他チームを引き離し唯一の1分32秒台を記録しトップに立った。

First HEAT TIME:1’32.930 (1st)

昼過ぎにスタートした2本目では他クラスの走行により浮き砂が掃けてきたこともあり
HKSチームも硬質ダートタイヤ「ADVAN A036」にスイッチすることとした。
しかし、サスセッティングが「A053」とマッチしていたことに加え、ドライビングのフィーリングも大きく変化した。
1000分の1秒まで争う世界では大きな影響があり、2本目ではタイムアップはしたもののはじめから
硬質ダートタイヤを履いていた他チームがさらなるタイムアップを決め、逆転で2位表彰台という結果となった。

Second HEAT TIME:1’32.639 (2nd)

復帰戦優勝とは惜しくもならなかったが、修復後初のダート路面で表彰台登壇を決めたことは大きな自信にもつながった。
今回はストラテジーにより勝負が決まった面もあったため、この経験を糧に様々な状況に対応できるよう引き出しを多く持ち、
どんな条件でもトップを争えるようチームの総合力を高めていきたい。


Rd.6 : 東北ダートトライアル IN KIRIYANAIサーキットパーク切谷内

転倒からの復帰戦となった第5戦「ダートスプリント in 門前」で2位表彰台と好結果を記録したHKSチーム。
参戦中のDクラスは毎戦勝者が変わる大混戦、サスペンションを中心に事前テストを行い、優勝を目指して入念な準備を行った。

第6戦の舞台「サーキットパーク切谷内」は門前に続きアップダウンが激しいチャレンジングなコースだ。
生憎の悪天候に見舞われてしまったが、140台を超えるエントラントと多くの観客が集まった.

公開練習日の天候は雨が続き、所々に水たまりが出来るコンディションとなった。
事前テストの効果もあり、練習走行ではトラブルもなく2位につけ好結果獲得へと期待が持てる形となった。

決勝日は曇天ながら通り雨や晴れ間も顔をのぞかせる天候となった。
1本目は前日の雨でコースコンディションも前日と変わらず、一般ダート向けタイヤ「ADVAN A053」でのスタート。
期待された1本目だが、マシンのアンダーステアが強く攻めきれないポイントがあり3位という結果となった。
ライバルも難しいコンディションの中攻めきれない様相ではあったが、ここで差をつけるためにもセッティング変更が急務となった。

First HEAT TIME:1’32.851 (3rd)

インターバルでサスペンションセッティングやホイールアライメントを変更し対策を行ったが、さらに燃圧が低下していることが明らかとなった。
原因と思われる部品の確認や交換を行い2本目に挑むこととなった。

2本目が始まると晴天となり、急速に乾く路面にエントラントが翻弄される展開となった。
浮き砂が掃けた硬い路面と水たまりが残る場所が共存する難しいコンディションであったが、確実性を重視し走り込んだ「ADVAN A053」を選択し2本目に挑んだ。

しかし、ここにきてエンジンが吹けない症状が発生。またしても思うように走れず、タイムを上げてきたライバル勢に越され最終結果は6位となった。

Second HEAT TIME:1’29.656 (6th)

フル参戦初年度ということでノウハウの蓄積を行い、ひとつひとつ洗い出し潰していくことで信頼性と速さを兼ね備えたマシンに仕上げていきたい。


Rd.7 : Super Trial in 今庄オートパーク今庄

第6戦切谷内では無念の6位という順位であったHKSチーム。
参戦中のDクラスは毎戦勝者が変わる大混戦、シリーズ2度目の優勝を目指し前戦のトラブル対策を行ない、今戦に挑んだ。

オートパーク今庄は、閉鎖が決まっており残念ながら今年が最後となる。
会場では「ラスト今庄」という言葉が聞こえ、エントラントは最後の今庄での走行に気合が入る。
また、今までにないほど硬質な路面である為、公開練習日より硬質ダートタイヤ「ADVAN A036」を選択することとなった。

公開練習日、1回のアタックのみで車両側もベストコンディションではないものの2位のタイムを記録し、
翌日の決勝日に向けてHKSチームのセッティングにも力が入る。

決勝日、天気は快晴で強い日差しの元でのアタックとなった。
1本目は路面の乾燥が進んだ為かマシンの挙動が安定せず、オーバーステアやアンダーステアに悩まされ、
2位のタイムを記録したものの1位とは1秒半以上の差がついてしまった。

First HEAT TIME:1’21.338

このままでは優勝は見込めないと感じたHKSチームは、現地で可能な策として、
ビード落ちを嫌って上げていたタイヤのエア圧を下げ、タイヤのグリップをフルに引き出す作戦を実施。
その結果、2本目はマシンの挙動が安定、田口選手の大胆かつ繊細なドライビングがマッチし2位とコンマ1秒差でトップタイムを記録し見事優勝を飾ることが出来た。

Second HEAT TIME:1’19.275

このドラマティックな優勝は、絶望的と思われたシリーズタイトルへの道を繋いだ。
次戦はシリーズタイトルを掛けた最終戦。全力を投入し栄光を掴み取りたい。


Rd.8 : ダートトライアル in タカタテクニックステージタカタ

第7戦今庄ではドラマティックな優勝を果たしたHKS Motorsportチーム。
絶望的と思われたシリーズタイトルの道を繋ぎ、その頂点を掛けた大事な戦いを向かえた。
HKSがタイトルを獲るためには優勝するしかない。
2位でも3位でも可能性はゼロ。強豪ひしめくDクラス、全力を投入し栄光を掴み取りにいく。

第8戦に向け、時間のない中で戦いの準備を済ませたHKSランサーエボリューション。
HKS Motorsportチームは一丸となって、気を引き締め直し決勝に臨んだ。

決勝日、天候は朝から小雨交じりの曇天。
今にも本格的な雨が降り出しそうな、読みが難しい天候。そんな中、大会が始まった。

テクニックステージタカタは距離も長く、最高速が180km/hにも達する直線やジャンピングスポット、
テクニカルなコーナーが続く区間もある攻略の難しいサーキットである。

第1ヒート、DクラスのHKSランサーエボリューションは、エントラントの最後に近いスタートとなるため、
各クラスの走行状況を見ながらコースコンディションを読みタイヤ選択を行った。

まず、1本目は一般ダート向けタイヤ「ADVAN A053」でのスタート。
ライバルがタイムをなかなか縮められない中、
田口選手の的確なドライビングで2位に0.8秒の差をつけ、見事トップタイムをマークした。

First HEAT TIME:1’43.669

しかし、トップタイムをマークしたものの、まだまだ気を抜けない。
第2ヒートでは更なるタイムアップを狙わなければ優勝を勝ち取ることはできない。

第2ヒートが始まると予想通り、各クラスとも第1ヒートのタイムより大幅に更新してきている。
HKS Motorsportチームもここでタイムアップを狙うべく、
天候の変化、コースコンディションを読み硬質ダートタイヤ「ADVAN A036」を選択。
いよいよ出走時間。頂点を極める戦いが始まる。

走り出したHKSランサーエボリューション。
車両にトラブルなく戻ってきてくれと願うHKS Motorsportエンジニアたち。あとは田口選手に託す。
快調をアピールするエキゾースト音を轟かせ、高速セクションから戻ってきたHKSランサーエボリューション。
タイトターンの区間もスムーズに走り抜け、チェッカーを受けた。
タイムは第1ヒートより1.3秒縮めタイムを更新。あとはライバル2台の走行を待つことに。
1台目43秒台、残る1台、最終出走者のタイムをMCが叫ぶ…1分…44秒…。

勝った。

Rd.8の優勝を決めるとともに、シリーズタイトルを獲得した。

Second HEAT TIME:1’42.305

ダートトライアルというHKSとしては未経験のカテゴリーにシリーズ参戦し、開幕戦での優勝、
その後のラウンドでは車両横転・破損、車両リメイクというダートトライアルならではの試練も経験しました。
復帰戦では2位、その後6位、優勝とポイントを重ね、最終戦も優勝で終えシリーズチャンピオンという最高の結果を収めることができました。
若手人材の育成と商品開発へのフィードバックをテーマに挑んでまいりましたが、
今シーズンの参戦で得られたデータや経験をもとに、来シーズンのさらなる飛躍につなげてまいります。


JAFカップ: 2023年JAFカップオールジャパンダートトライアルJMRC全国オールスターダートトライアル in 東北

HKSランサーエボリューションの初陣となった昨年のJAFカップオールジャパンダートトライアル、車両トラブルもあり3位という悔しい結果となった。
そのリベンジを果たすべく、2023年JAFカップオールジャパンダートトライアルに参戦。

シリーズチャンピオンを決めた、前回の大会から車両の大きな仕様変更は行わず、各部のメンテナンスと調整を行い、大会に挑んだ。

今回の会場は、ドリフトの聖地と呼ばれていたエビスサーキット南コースをダートトライアル用に改修し、生まれ変わったエビスサーキット 新南コースが舞台となる。

非常に難しいコースコンディションとコースレイアウトで攻略しがいのあるサーキット。
車両性能はもちろんのこと、ドライバーの技量も試される。

入念な完熟歩行を行い、コースコンディションを確かめる。

第1ヒートが始まった。

HKSランサーエボリューションの出走は、最終の走行。
タイヤは、路面状況からヨコハマA053かA036となるが、HKSチームは硬質ダート用の「A036」を選択。

ライバルが、タイムを刻む中、HKSランサーエボリューションは1‘26.058。
トップタイムをマークした。

第2ヒートが始まり、路面のコンディションも徐々に良くなってきている中、予想通り各クラス大幅にタイムアップしてきた。
HKSチームも、更なるタイムアップを狙い、各部のチェック作業と調整を行い最終出走を待つ。

Dクラスの走行が始まり、田口選手がHKSランサーエボリューションに乗り込む。

2023年最後の走りとなると同時に、JAFカップを懸けた最後の戦いが始まる。

当然、ライバルのDクラスの車両も軒並みタイムアップしている。
スタートフラッグが降られ、走り出すHKSランサーエボリューション。

ジムカーナのようなタイトターンもあるコースレイアウト、刻刻と変化する路面状況、
難しいコンディションと対話するかのような田口選手の的確な走りで駆け抜けたHKSランサーエボリューション。

タイムは、唯一23秒台に入り、1‘23.526とトップタイムを叩き出し、結果としては2位に1秒以上の差をつけ勝利を掴んだ。

2023年 シリーズチャンピオンとJAF CUPの両タイトルを獲得し、最高のシリーズを締めくくることができた。