HKSマガジン
究極のストリートダンパー・ハイパーマックス マックスIV GT

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ランボルギーニやポルシェといった世界のスーパースポーツと肩を並べるR35 GT-R。今回試乗するHKS GT-Rは、GT600レーシングパッケージにより600psまでパワーが高められているため、それを受け止めるサスペンション性能は重要なファクターだ。
インプレッションは、2004年に日本人でふたり目となるル・マン総合優勝を果たすなど、海外レース経験も豊富なGT500ドライバーの荒聖治選手。プライベートではR32、R34、R35を所有するGT-R乗りで、チューニングへのこだわりも深い。さて、その評価はいかに。

荒流 ストリートダンパーに必要な条件

安全に楽しくずっと乗っていたくなる足

これまでのレース経験から、サスペンションのセッティングは路面に追従してしっかりと動くことが大切です。そのために必要なのはしなやかさ。路面のギャップを吸収し、しっかりとタイヤをグリップさせる。そのサスペンション性能はレーシングカーもストリートカーも変わらないですね。ただストリートダンパーは、そこからさらに対応できるステージの幅が広くなければならない。そして安全であること。場所を問わず、ずっと楽しく乗れることがいちばんだと思いますよ。
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NISSAN GT-R

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SPEC

  • ホイール:ADVAN MODEL F7(F 20×10J +45・R 20×11J +25)
  • タイヤ :ADVAN SPORT(F 255/40R20・R 285/35R20)
  • 推奨車高:F -12mm・R -13mm(ノーマル比)

装着イメージ

Front:ダブルウィッシュボーン
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Rear:マルチリンク
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※写真はプロトタイプです。

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インプレッション

しなやかに動く グランドツーリング的な乗り味

 以前、2007年モデルのR35に乗っていたんですが、初期型の乗り味はとにかくゴツゴツしていて不快そのものでした。でも、このMAXIV GTを装着したGT-Rは、サスペンションの動き始めがすごくなめらかで突き上げ感が抑えられている。しなやかだし快適性はかなり高いレベルに仕上がっています。

 そのしなやかさは、路面に追従させるという動きにも活かされていて、すごく良く動きます。そう言うと柔らかい足と思うかもしれませんが、ただ柔らかいだけじゃない。タイヤを路面に押し付ける力、ボディの上下動を抑えてコーナリング中はロール量を安定させる適度な硬さを持っている。狙っている方向がグランドツーリング的な印象ですね。この動きならワインディングでも一般道でも、しなやかで快適に乗れると思います。

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重いクルマはコーナリング中やステアリングを切り返したときなど、慣性によってふらつきがちですがMAXIVは安定している。減衰が効いている証拠ですね。
コンディションを選ばない 安心感がある

 今回の試乗は箱根のワインディング。雨が降ったりと路面が少し濡れた状況でしたが、それでもフロントの操舵感、タイヤのグリップはけっこう高いレベルにあると思いました。試乗車はブーストアップで600psの仕様ですが、そのパワーもしっかりと路面に伝えてくれますね。

 しなやかな足は荷重移動もさせやすい。アクセルオンで後ろが沈み込み、旋回しながらの下りのブレーキングでも、極端にオーバーステアやアンダーステアになることもなく、非常にマイルドな挙動です。こういうダンパーだとどんなコンディション、シチュエーションでも安心してタイヤのグリップを発生させることができます。

 少しピーキーなほうがスポーティな足だと思われがちですが、そうじゃない。快適性もスポーツ走行も両立できるのはしなやかさ。MAXIV GTには、それがあると思います。

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レーシングカーの足はコースやコンディションに合わせてピンポイントのセッティングができますが、ストリート用はそうはいかない。対応幅の広さは、安心感につながります。

荒流 ストリートのオススメ減衰力セッティング

ウエット路面と車重を考えてギリギリを狙いました

出荷時に設定されている前後15段でも問題はないですが、乗り心地を優先してそこからフロント3段、リヤ1段ソフトにしました。GT-Rは車重があるので、ダンパーのおさまりが悪くならないギリギリの柔らかさがここですね。ドライなら、もう少し減衰を硬くしても良かったかな!?
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