HKSマガジン
究極のストリートダンパー・ハイパーマックス マックスIV GT

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トヨタとスバルの共同開発により、2012年4月から発売されたトヨタ86。久しぶりのFRスポーツの登場で、チューニング業界だけでなく、世界中の自動車ファンから注目されている1台だ。
そんなトヨタ86用のMAXIV GTをHKSはいち早く開発。初代D1GPチャンピオン、さらに2011年にはスーパーGT・GT300クラスも制した谷口信輝選手がインプレッションを担当する。自身もトヨタ86のオーナーであり、MAXIVの開発に携わっただけに評価は満点!?

谷口流 ストリートダンパーに必要な条件

4輪に荷重をかけたり抜いたりしたとき思うように動いてくれるかが重要

ストリートダンパーというより、僕がダンパー全般に求めるのは、ドライバーの思うように足が動いてくれるかどうか。ブレーキで前荷重をかけて、ハンドルを切ったら外側のフロントから外側のリヤへ荷重が移っていく。アクセルによってリヤの荷重もコントロールできる。それが前提にあって、ストリートスペックならやっぱり乗り心地が大切だよね。トヨタ86のノーマルの足は、乗り心地もスポーツ性も“そこそこ”イイから、要求されるレベルは高いと思うよ。
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TOYOTA 86

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SPEC

  • ホイール:ADVAN RS(18×8J +48)
  • タイヤ :ADVAN NEOVA AD08(225/40R18)
  • 推奨車高:F -32mm・R:-31mm(ノーマル比)

装着イメージ

Front:マクファーソンストラット
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Rear:ダブルウィッシュボーン
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※写真はプロトタイプです。

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インプレッション

乗り心地に確かな進化を感じる

 ダンパーの動き始めが穏やか。今回は箱根のワインディングを走ったんだけど、減速帯をボコボコと乗り越えてもイヤな突き上げ感はないし、ギャップで跳ねてもスッとおさまる。もちろん、ノーマルより車高を低くしているし、バネレートや減衰力は高くなっているから多少の硬さはあるけど、体感としては硬いというより「しっかりした」という感じかな。これなら街乗りも高速道路のつなぎ目も、なんの苦もなく走れると思うよ。

 このMAXIV GTは、サスペンションのポテンシャルを上げようという意図がくみとれて、乗り心地も以前より意識しているのがハッキリとわかる。これまでのハイパーマックスシリーズから、確実に進化しているよね。

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減速帯を乗り越えてたときのゴツゴツ感はいっさいない。ダンパーが動き出す速度の低い領域でもコツコツとした感じがないから、街乗りでも快適だと思うよ。
このままの仕様で サーキットもイケる!!

 乗り心地がイイというと「柔らかい足」をイメージしがちだけど、ワインディングを走ってロール量が気になることはないね。しっかりとクルマを支えてくれるし、柔らかいだけの足はコーナリング中のアクセルやブレーキをちょっと操作しただけで姿勢変化を起こしやすいけど、そこも落ち着いてる。足は硬くても柔らかくてもダメ。そういう点で、MAXIV GTはバランスが取れている。

 だから、ちょっとぐらい攻めた走りをしてもOK。というか、このままサーキットも走れるでしょ。さすがにSタイヤ履いたり、タイムを狙うという場合は、バネレートも減衰力ももう少しだけ上げたほうがいいけどね。でも、そこまでハードでなければこれでじゅうぶん。ちょっと悔しいけど(笑)、この86用MAXIV GTは乗り心地もスポーツ性も文句のつけどころがないね。

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コーナリングではちゃんとフロントが沈み込んで、ハンドルを切りましていくとリヤに荷重が移る。クルマを思い通りに操作することができるよ。

谷口流 ストリートのオススメ減衰力セッティング

攻めた走りは前後20段がベスト

ワインディングを気持ち良く走れるのは、柔らかいほうから10段目の前後20段。街乗りでの乗り心地を優先したいなら、フロントをさらに5段ソフトにした25段かな。ハード側の調整シロにまだ幅があるから、セッティングしだいでサーキットもカバーできるね。
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