大人のユーザーを深く満足させる上質な乗り味。
そのセッティングには、 技術力だけでなく、 モノ造りのセンスや、 人への洞察力など、実に多様な要素が求められると言う…。
レースユースをはじめとして、車高調、そして純正形状。HKSのサスペンションシリーズは幅広いバリエーションを誇っている。
意外かもしれないが、この中で今回のHIPERMAX Gが技術的にもっとも難しいチャレンジだった。
基本ディメンションを純正同一とする条件の中で、ショックアブソーバーの性能を圧倒的に高める。しかも、その評価軸はラップタイムやクイックな運動性といった単純なものではなく、大人のユーザーを深く満足させるプレミアムカーとしての上質な乗り味…。
高性能/高品質なのは当然として、その上でどういう走りを創造するか?ターゲットが抽象的になればなるほど、技術力だけでななくモノ造りのセンスや人間への洞察力が問われることになるからだ。
HKSのエンジニアたちは、ここで「サスペンションとは何か?」という本質を、もう一度見つめ直すことが求められた。
そこから得られたHIPERMAX Gの開発コンセプトは、クォリティに徹底的にこだわるというシンプルなものだった。
メーカー純正部品にはコスト面からさまざまな妥協がある。そういう制約から解き放たれたときサスペンションはどこまで飛躍できるのか。HKSが出した回答をぜひじっくりと味わってほしい。

ロッド先端のガス注入部。非常に品質の高い加工だ。

ブラケット部はプレート二重にして剛性を確保。

各部も剛性を高めた作りとしている。

ロッドは装着してしまうとブーツで隠れてしまうのが惜しいほど美しい。表面には特殊なコーディングが施されていて、それがスムーズな摺動を生み出すという。

こちらはリヤダンパーのガス注入部。本体との溶接部も非常に美しく仕上がっている。また、塗装は一般的な亜鉛メッキと比較しても5倍以上の耐腐食性を誇る、PNEコートを採用している。
Report:鈴木直也 / Photo:澤田優樹