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HIPERMAX G / ノーマルを凌ぐ安心感HKS MAGAZINE

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ROAD IMPRESSION

Performance of HIPERMAX G : Part 03
ノーマルを凌ぐ安心感。

操舵レスポンスはマイルドと表現したいものだが、それが位相の遅れをともなっていないところがポイント。
それ故に、スタビリティの面ではノーマルをはるかに凌ぐ安心感がある。

最初の驚きは、ごく低速域から、スムーズに動いていること。

HIPERMAX G

Impression byNaoya Suzuki:鈴木直也
日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務めるモータージャーナリスト。
ベストカー誌を始め、数々の媒体において、主に新車のインプレッションを担当。
その明確で的確なインプレには定評がある。

HIPERMAX Gの最初の対応モデルとして選ばれたのは、人気のLクラスミニバンであるアルフォード/ヴェルファイア。走りの質感にこだわった純正同形状サスペンションとして、あえて条件の厳しい車種からチャレンジしようという意欲が感じられる。

というのも、車重2トン超えの大型ミニバンほど、サスペンションにとってシビアな環境はないからだ。

重量級のボディはショックアブソーバーに強いストレスを与えるが、そこを固めるととたんに乗り心地が悪化する。高い重心高、あまり剛性を期待できないボディ、そのわりにきびしい乗り心地への要求…。ノーマルのサスは、こういう諸要求をぎりぎり妥協させているのだが、どこをいじってもそのバランスが崩壊しそうにみえる。

しかし、HIPERMAX G装着のアルファードで走り出した瞬間、ガラガラと崩壊したのはぼくの先入観の方だった。

最初の驚きは、10km/h以下といったごく低速域から、サスペンションがスムーズに動いていること。HKSの工場敷地から外へ出る際、側溝をカバーしている鉄製の蓋(グレーチング)を乗り越えるのだが、ガタッとくるショックを予想していたらみごとに肩透かし。タンッと軽快な身のこなしでアルファードは公道に躍り出たのだ。

富士宮郊外の一般道でも、アルファードの乗り心地の印象は良好だ。試乗車は20インチのスポーツラジアルを履いていたから、路面の細かいアンジュレーション(うねり)にはノーマルよりずっと敏感なはずだが、あまり路面状況のよくないシチュエーションでもバネ上は別天地。タイヤが発するザーッというロードノイズの大きさから、路面がけっしてスムーズでないことはわかるのだが、そういう”雑味”をサスペンションがしっかり遮断してキャビンを快適にたもってくれているのだ。

いっぽう、上質な乗り心地を確保しながらハンドリングも巧みにアレンジされている。

操舵レスポンスはこの種のスポーツサスペンションとしてはマイルドと表現したいものだが、それが位相の遅れをともなっていないところがミソ。速いレーンチャレンジには大きめの舵角を与える必要はあるが、遅れて”オツリ”がやってくるようなことがないから、スタビリティの面ではノーマルをはるかに凌ぐ安心感がある。

この路線で、たとえばレクサスISあたりを仕上げたら…。今後の展開が楽しみになるHIPERMAX Gの初インプレだった。

Report:鈴木直也 / Photo:澤田優樹・高木博史