HKSマガジン
86・BRZ Tuning Live!!

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TOYOTA 86とSUBARU BRZのHKS流ステップアップチューニングを紹介する企画が「86・BRZ Tuning Live!!」。前回のSTEP 7までで、NAチューンは一段落。最終回となるSTEP 8では、モアパワーを得るべく、ついに過給器チューニングを決行します!
過給器チューニングには、ターボ化とスーパーチャージャー化がありますが、今回のメニューは後者。HKSオリジナルの遠心式で、さらに86 & BRZ専用に設計し直した逆転型GTスーパーチャージャーを装着します。

テスト車両:TOYOTA 86 フルノーマルの状態からステップアップチューニング開始!!

チューニングメニュー
STEP 1:VAC(スピードリミッター解除)
STEP 2:HIPERMAX MAX IV GT(サスペンションチューニング)
STEP 3:Hi-Power SPEC-L(マフラーチューニング)
STEP 4:RACING SUCTION Reloaded(吸気系チューニング)
STEP 5:SUPER MANIFOLD with CATALYZER GT-SPEC
    (排気系チューニング)
STEP 6:OB-LINK/S-TYPE OIL COOLER Pro KIT(油温管理)
STEP 7:FLASH EDITOR(コンピューターチューニング)
STEP 8:GT SUPERCHARGER(過給器チューニング)

スーパーチャージャーの弱点を克服新設計した“逆転型”で装着もスマートに

スーパーチャージャーの弱点を克服 新設計した“逆転型”で装着もスマートに

ボルトオンでプラス50ps!! さらなるモアパワーにも対応

 NAエンジンのままでは得られるパワーには限界があり、本格的にメカチューンを進めるとなると費用がかさんでしまいます。しかし、ターボやスーパーチャージャーといった過給器チューニングであれば、小排気量車でも比較的ローコストで大きなパワーを手に入れることができます。過給器で圧縮した空気をエンジンに送り込むことで燃焼効率を高め、エンジン性能を引き上げることができる過給器。ターボチャージャーは排気の力、スーパーチャージャーはクランク軸の出力を動力にしていますが、構造の違いこそあれ、狙いは同じです。

 というわけで、今回は86のパワー不足を解消するべく、スーパーチャージャーを装着します。ちなみに、スーパーチャージャーには、ルーツ式やスクリュー式などさまざまなタイプがありますが、HKSのGTスーパーチャージャーは遠心式を採用。これはターボ チャージャーと同じようにブレードを回転させて空気を圧縮する方式で、小型&軽量化できるのがポイント。そして、GTスーパーチャージャーの最大のトピックとなるのが、トルク感応型のトラクションドライブを採用した増速装置です。歯車を持たない表面が平らなローラーと出力軸で構成され、増速比は 従来のギヤ式が約2倍以下なのに対し、10倍以下と回転数を高めることで高風量、高過給圧に対応。しかも、低負荷域ではローラーと出力軸を無駄に押しつけることのないトルク感応式だから、常用回転域の燃費向上も達成。さらに言えば、ギヤ式特有の「ウィーン」といったメカニカルノイズがほとんど出ないところもポイント。 つまり、従来のスーパーチャージャーで弱点とされていた部分を改善してあるわけです。

 今回装着した86 & BRZ用のGTスーパーチャージャー・コンプリートキットは、最大400psまで対応するGTS7040L(スーパーチャージャー本体)をベースに補機類が付属したキット。スーパーチャージャー本体はFA20エンジンの搭載レイアウトを考慮し逆転型に新設計し、見た目にもスマートな装着を可能にしました。専用のインタークーラーやブローオフ、F-CON iS(純正触媒+HKSマフラーのベースデータ内蔵)などもセットになっていますので、多少の加工は必要ですがほぼボルトオンで装着が可能です。気になる性能はというと、パワーはプラス約50ps、トルクは約7kg-mものパフォーマンスアップを実現しています。軽量な86ではじゅうぶんなパワーですよね。 なお、テスト車両の86には、すでにエキマニとメタルキャタライザーを装着済みなので、それに合わせてコンピューターは現車セッティングしてあります。も ちろん、燃料系まで手を加えれば、さらなるモアパワーにも対応します。

GTスーパーチャージャー「GTS7040L」は、最大で400psまで対応。コンプリートキットとしては、240~250psに設定してあり ますが、これは安全マージンを考えての数値。燃料系やエンジン内部にも手を加えれば、400ps仕様も可能です。
遠心式のGTスーパーチャージャーは、ターボチャージャー同様コンプレッサー内のブレードを回転させることで空気を圧縮する構造となっており小型&軽量化できるのがポイント。ターボチャージャーのような見た目も特徴です。
キットには専用のインタークーラーも付属。スーパーチャージャーによって圧縮、高温化した空気をしっかりと冷却し、エンジンへの吸入空気充填効率を高めます。
サブコンのF-CON iSも付属。純正触媒+HKSマフラーを前提としたベースデータを内蔵済みですが、現車合わせでのセッティングが必要。なお、前回のSTEP 7で装着したフラッシュエディターによる制御を現在開発中です。

エンジンルームの違いは一目瞭然!

ノーマル
GTスーパーチャージャーコンプリートキット装着

高回転でも詰まりなし。全域でパワー&トルクを底上げ

一般的に、スーパーチャージャーは低中回転型で、高回転域ではパワーが頭打ちになると言われていますが、GTスーパーチャージャーではグラフのように、詰まることなく高回転まで出力を向上させます。また、グラフはSTEP 7のGT-SPEC+フラッシュエディターPHASE 2との比較なのでわかりにくいですが、86 & BRZで起きる4000rpm付近の「トルクの谷」が、完全に解消できました。なお、純正触媒+HKSマフラーへのボルトオン装着(ベーシックスペック)では、236.8ps/27.0kgmとなります。

インプレッション

インプレッション by 谷口信輝 違和感がないのに、すごいパワフル!

街乗りでも扱いやすいNAのようなパワーフィール

 とうとうきたね、ひと通りNAチューンが終わっていよいよスーパーチャージャーが装着されました。今回は現場での取り付けができなかったから、あらかじめ装着されていたんだけど、ボンネットを開けると迫力あるよね。見た目だけでもじゅうぶん速そうだ。

 早速インプレしてみると、ピットロードからの加速だけで、パワフルになったのがわかるね。とくに4000rpmから上にかけてのトルク感がまったく違う。雨にノーマルタイヤってのもあるけど、富士スピードウェイのコーナーではドリフトしまくり。ストレートでは余裕で6速に入るようになったしね。

 昔のスーパーチャージャーを知っているひとは、「アクセルを踏み込んだところのトルクはあって、その後は伸びない」というイメージが強いと思う。でも、このGTスーパーチャージャーはエンジンの回転数とともにブースト圧がどんどん上がっていく。それでいてアクセルを踏み込んだところのトルクもあるか ら、ターボのように低回転域がなくて途中からグンっと加速するわけではない。つまり、NAっぽいフィーリングなんだよね。ノーマルのパワーグラフのワンランク上をずっと同じように上がっていく感じ。あの特有のメカニカルノイズもないし、フィーリングも違和感がないから、知らずに乗ればスーパーチャージャーに気がつかないかも。

 このNAのようなパワーフィールは、扱いやすさにもつながっているね。ターボだと、運転手が求めているアクセルワークよりもブースト が上をいっちゃって、パワーが過剰に出過ぎることもある。そうすると、ちょっとコントロールしにくい。でも、このGTスーパーチャージャーは、アクセルワークにダイレクトに反応してブースト圧がかかるから、すごく自然で扱いやすい。

 86ってすごくいいクルマなんだけど、ノーマルだとパワーが物足りないんだよね。だから、このスーパーチャージャー仕様に乗ると「最初からこの仕様で売ってくれればいいのに」と思ってしまうくらい。それぐらい、いい意味でクセがない、誰でも普通に乗れる扱いやすさだと思うよ。

 というわけでノーマルからここまでステップアップチューニングしてきたけど、比較的手軽にできてすごく楽しい仕様になったよね。86オーナーの方は是非試して86ライフを楽しんで欲しいな。

雨だっせいもあるけどコーナーではドリフトしまくり。もりもり増えたトルクはノーマルとは比べ物にならないね。この86はエキマニを交換してはいるけどGTスーパーチャージャーの装着車としては、ほぼベーシックな仕様。もっとチューニングすればパワーアップは可能だけど、これでじゅうぶん楽しめるはずだ。

今回装着したパーツ

GT SUPERCHARGER COMPLETE KIT

GT SUPERCHARGER COMPLETE KIT(86 & BRZ用)
価格:48万円(税抜き)