HKSマガジン
86・BRZ Tuning Live!!

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TOYOTA 86とSUBARU BRZのHKS流ステップアップチューニングを紹介する企画が「86・BRZ Tuning Live!!」。これまでのチューニングにより、スポーツ性能がかなり高められた86ですが、サーキットを走るには速さだけでなく、安心して全開走行できる環境を整えるのも大切なこと。というわけでSTEP 6では、水温や油温といった温度をしっかりと管理するためのメニューを用意しました。
温度管理といえば、定番はやはり追加メーター。しかし、いわゆる一般的な追加メーターの増設は、レーシーなコクピットになる反面、ごちゃっとしたインテリアになりがち。そこで、今回はスマートフォンやタブレットにすっきりと表示する、HKS OB-LINKを装着。果たして、86の水温&油温状況はいかに。

テスト車両:TOYOTA 86 フルノーマルの状態からステップアップチューニング開始!!

これまでのチューニングメニュー
STEP 1:VAC(スピードリミッター解除)
STEP 2:HIPERMAX MAX IV GT(サスペンションチューニング)
STEP 3:Hi-Power SPEC-L(マフラーチューニング)
STEP 4:RACING SUCTION Reloaded(吸気系チューニング)
STEP 5:SUPER MANIFOLD with CATALYZER GT-SPEC
    (排気系チューニング)
 
 
 

クルマの情報をアンドロイド端末に表示正確な数値で温度をしっかり管理

クルマの情報をアンドロイド端末に表示 正確な数値で温度をしっかり管理

OBDコネクターにカプラーオンでOK!! 各種センサーの取り付けも不要

 86 & BRZに限らず、純正メーターではおおよその油温や水温を確認できるだけで、正確な温度は表示されないクルマがほとんど。サーキット走行など高回転を多用しエンジンに負担がかかるシーンでは、当然水温も油温も上昇しがち。それに気づかず走り続けると‥‥最悪の場合、エンジンが壊れてしまうことも。

 そこで今回は、HKS OB-LINKを装着。このOB-LINKは、車両側に装備されている故障診断装置(OBD)のポートに本体のコネクターを接続。たったこれだけで、Bluetooth通信によってスマートフォンやタブレットといったAndroid端末にクルマのあらゆる情報を表示するシステム(専用アプリはGoogle Playよりダウンロード)です。

 一般的な追加メーターのようにセンサーを取り付ける必要がなく、面倒な配線もいっさい不要という、現代版のモニタリング装置です。車種にもよりますが、車速、エンジン回転数はもちろん、水温、油温、点火時期、吸入空気量&温度、インマニ圧など、チューニングカーとして知りたい情報が精細な数値やメーター、グラフなどで表示できます。さらに、サーキットユーザーには必須となるピークホールド機能やワーニング機能、そしてロギング機能などを搭載。普段の街乗り時に便利なエコメーターも搭載しています。

 また、不要なときはスマートフォンやタブレットを取り外してしまえば車内はスッキリ。TPOに合わせた使い方が可能です。

 というわけで、気になるハチロクの水温と油温を計測してみましょう。

OB-LINKの装着は、車両側の故障診断コネクターにカプラーを挿すだけ。あとは付属のマジックテープで、本体を固定すればOK。現在対応しているのはAndroid端末のみですがiPhone用も現在開発中。ご期待ください。
端末にもよりますが、操作は指をスワイプ(スライド)させてページを切り替えたり、ダブルタップでピーク値を表示したりと、スマートフォン感覚で操作できます。

86 & BRZ 表示項目

車 速 エンジン回転数 水 温 点火時期 A/F補正値 1/2 S/H学習値 1/2 吸入空気量
吸入空気温度 スロットル開度 1/2 インマニ圧力 燃料噴射時間 エンジン油温 ギヤポジション  
86 & BRZは13項目の車両情報を表示

車種ごとに表示項目数は変わりますが、86 & BRZの場合13項目の車両情報が表示可能です。多彩なメーターデザインで、走行中も見やすく、また走行後にピーク値や走行中のデータ変化を確認するなど自由度を高くしています。また、クルマの点検時期をお知らせするカーカルテや、エコドライブ診断機能も搭載し、普段の街乗りでも楽しみながら使えるようになっています。

マルチインフォメーションメーター
クワトロメーター
グラフ
データリストグラフ表示
エコメーター

インプレッション

インプレッション by 谷口信輝 数値で見るとやっぱり安心感が違う

わずか2周目で油温のワーニングが点滅!?

 純正メーターって、得られる情報が少なすぎるよね。車速とエンジン回転、ガソリン残量、それに水温計はあるけど何度なのかわからず、不安。その点、OB-LINKを使えば、水温や油温の細かい数値がわかるし、車速もデジタル表示で見やすい。表示方法を4連アナログメーター(クワトロメーター)にすれば、見慣れた追加メーターっぽくもできていいね。

 で、OB-LINKで温度をチェックするとヤバイ事態!! コースインした1周目、早くも油温が100°Cオーバー。2周目には120°Cを超えてワーニング域に突入。最終的には126°Cまで上がってしまった。今日は雨で気温も約10°Cと低く、クルマには相当優しい条件なのに‥‥。

 水温は93°Cだったけど、これでは走り続けられないってことで、わずか2周でピットイン。常識的に考えて、水温は100°C以下、油温は120℃以下をキープしたいところ。OB-LINKによって、86はかなり油温が厳しいことがわかった。こうなると86でサーキットを走るなら、オイルクーラーが必須ってことだよね?

わずか2周で油温は126°Cを超えてしまった。水温は問題なかったけど、86でサーキット走行をする場合は、油温対策が必須となりそうだね。
使うモニターのサイズにもよるだろうけど、基本的に表示は見やすい。多くの情報を知ることができるのは、やっぱり安心できるよね。ただし、レーシンググローブをしていると操作できないから注意(笑)。

クルマの情報をアンドロイド端末に表示正確な数値で温度をしっかり管理

温度管理で判明した油温問題はオイルクーラー装着で対処

 OB-LINK装着後に富士スピードウェイを走行したところ、油温が120℃を超えてしまうことが判明。そこで、オイルクーラーキットを装着することに。

 HKSでは86 & BRZ用に、オイルクーラーのコアをラジエター前に設置するS typeも設定していますが、S type Proは社外バンパーやフォグランプの有無、後付け過給器のインタークーラー装着などを考慮し、車両の仕様に応じてコアの設置場所を決められるタイプです。今回、コアは右フロントタイヤの前に設置しました。

 コアは冷却性能と取り付け性を両立した薄型15段、オイルフィルターのアタッチメントにはサーモスタットを内蔵してオーバークールを防止できます。これで油温を気にせず、サーキットの全開走行ができるはずです。

86 & BRZの場合、アタッチメントとの距離を考えると、左フロントタイヤ前が理想ですが、そこにはウォッシャータンクがあるため、右フロントタイヤ前に装着。コアは薄型で、ホースも4mあり、設置場所を自由に決められるのもS type Proの特徴です。
アタッチメントはオイルフィルターではさむサンドイッチタイプ。サーモスタット機能(バルブ作動開始温度約70°C/バルブ全閉温度約80°C)を搭載しています。また、コアの潰れやラインの詰まりなど、油圧が異常上昇した時にはエンジンを保護するリリーフ機能も搭載。

インプレッション

高回転を多用しても油温が安定これなら真夏のサーキットでもイケる

 オイルクーラー装着後は、あきらかに油温が上がらなくなった。気温約10°Cで雨という条件は装着前とほぼ同じ。それで、1周目の油温は88°Cぐらい。2周目は、雨で路面がすべりやすかったというのもあるんだけど、ちょっとドリフト気味に走行。ドリフトは高回転を維持するから、当然油温は上がりやすいはずなんだけど、それでも100°Cを超えることはなく、96°Cでほぼ安定していた。ピーク値でも97°Cだったからね。

 オイルクーラーを装着して油温が30°Cも下がるとは、効果絶大。というか、86でのサーキット走行には、やっぱりオイルクーラーは欠かせないと思う。オイルクーラーさえ付けていれば油温は上がらないんだけど、それをOB-LINKなどの追加メーターで見ることで、安心もできる。OB-LINKとオイルクーラーは、一緒にやるのがベストってことかな。

エンジンオイルは、一度でも120℃を超えてしまうと、急激に性能が落ちてしまうことがある。そういう意味でも、オイルクーラーがないと安心してサーキットは走れないね。このS-TYPE OIL COOLER Pro KITなら、コアに風が当たりにくいドリフトユーザーにもオススメできるよ。

今回装着したパーツ

OB-LINK

OB-LINK(86 & BRZ用/車両通信タイプ:TOYOTA 2)
価格:1万9800円(税抜き)

S-TYPE OIL COOLER Pro KIT

S-TYPE OIL COOLER Pro KIT(86 & BRZ用)
価格:7万8000円(税抜き)