86 & BRZに限らず、純正メーターではおおよその油温や水温を確認できるだけで、正確な温度は表示されないクルマがほとんど。サーキット走行など高回転を多用しエンジンに負担がかかるシーンでは、当然水温も油温も上昇しがち。それに気づかず走り続けると‥‥最悪の場合、エンジンが壊れてしまうことも。
そこで今回は、HKS OB-LINKを装着。このOB-LINKは、車両側に装備されている故障診断装置(OBD)のポートに本体のコネクターを接続。たったこれだけで、Bluetooth通信によってスマートフォンやタブレットといったAndroid端末にクルマのあらゆる情報を表示するシステム(専用アプリはGoogle Playよりダウンロード)です。
一般的な追加メーターのようにセンサーを取り付ける必要がなく、面倒な配線もいっさい不要という、現代版のモニタリング装置です。車種にもよりますが、車速、エンジン回転数はもちろん、水温、油温、点火時期、吸入空気量&温度、インマニ圧など、チューニングカーとして知りたい情報が精細な数値やメーター、グラフなどで表示できます。さらに、サーキットユーザーには必須となるピークホールド機能やワーニング機能、そしてロギング機能などを搭載。普段の街乗り時に便利なエコメーターも搭載しています。
また、不要なときはスマートフォンやタブレットを取り外してしまえば車内はスッキリ。TPOに合わせた使い方が可能です。
というわけで、気になるハチロクの水温と油温を計測してみましょう。
車 速 | エンジン回転数 | 水 温 | 点火時期 | A/F補正値 1/2 | S/H学習値 1/2 | 吸入空気量 |
吸入空気温度 | スロットル開度 1/2 | インマニ圧力 | 燃料噴射時間 | エンジン油温 | ギヤポジション |
車種ごとに表示項目数は変わりますが、86 & BRZの場合13項目の車両情報が表示可能です。多彩なメーターデザインで、走行中も見やすく、また走行後にピーク値や走行中のデータ変化を確認するなど自由度を高くしています。また、クルマの点検時期をお知らせするカーカルテや、エコドライブ診断機能も搭載し、普段の街乗りでも楽しみながら使えるようになっています。
純正メーターって、得られる情報が少なすぎるよね。車速とエンジン回転、ガソリン残量、それに水温計はあるけど何度なのかわからず、不安。その点、OB-LINKを使えば、水温や油温の細かい数値がわかるし、車速もデジタル表示で見やすい。表示方法を4連アナログメーター(クワトロメーター)にすれば、見慣れた追加メーターっぽくもできていいね。
で、OB-LINKで温度をチェックするとヤバイ事態!! コースインした1周目、早くも油温が100°Cオーバー。2周目には120°Cを超えてワーニング域に突入。最終的には126°Cまで上がってしまった。今日は雨で気温も約10°Cと低く、クルマには相当優しい条件なのに‥‥。
水温は93°Cだったけど、これでは走り続けられないってことで、わずか2周でピットイン。常識的に考えて、水温は100°C以下、油温は120℃以下をキープしたいところ。OB-LINKによって、86はかなり油温が厳しいことがわかった。こうなると86でサーキットを走るなら、オイルクーラーが必須ってことだよね?
OB-LINK装着後に富士スピードウェイを走行したところ、油温が120℃を超えてしまうことが判明。そこで、オイルクーラーキットを装着することに。
HKSでは86 & BRZ用に、オイルクーラーのコアをラジエター前に設置するS typeも設定していますが、S type Proは社外バンパーやフォグランプの有無、後付け過給器のインタークーラー装着などを考慮し、車両の仕様に応じてコアの設置場所を決められるタイプです。今回、コアは右フロントタイヤの前に設置しました。
コアは冷却性能と取り付け性を両立した薄型15段、オイルフィルターのアタッチメントにはサーモスタットを内蔵してオーバークールを防止できます。これで油温を気にせず、サーキットの全開走行ができるはずです。
オイルクーラー装着後は、あきらかに油温が上がらなくなった。気温約10°Cで雨という条件は装着前とほぼ同じ。それで、1周目の油温は88°Cぐらい。2周目は、雨で路面がすべりやすかったというのもあるんだけど、ちょっとドリフト気味に走行。ドリフトは高回転を維持するから、当然油温は上がりやすいはずなんだけど、それでも100°Cを超えることはなく、96°Cでほぼ安定していた。ピーク値でも97°Cだったからね。
オイルクーラーを装着して油温が30°Cも下がるとは、効果絶大。というか、86でのサーキット走行には、やっぱりオイルクーラーは欠かせないと思う。オイルクーラーさえ付けていれば油温は上がらないんだけど、それをOB-LINKなどの追加メーターで見ることで、安心もできる。OB-LINKとオイルクーラーは、一緒にやるのがベストってことかな。